夫婦デュオ、ハンバードハンバードの『ぼくのお日さま』という曲をご存じでしょうか。
このブログを見に来てくれた人なら、ご存じの方が多いかもしれません。
吃音者の日々の言い表せない思いを、ありのままの言葉と、やさしいメロディにのせて歌っています。
ハンバードハンバードは、佐藤 良成(りょうせい)、佐野 遊穂(ゆうほ)のご夫妻が1998年に結成したフォーク・カントリーデュオ(公式HP)です。
フォークとかカントリーとかの分類はよくわかりませんが、
異国情緒をまといつつ、どこか懐かしさを感じさせる曲が多いです。
CMでおなじみの『アセロラ体操』や葉の茶『ハハハの茶』も彼らの音楽で驚きました。
『ぼくのお日さま』は、2014年に発売された8枚目のアルバム『むかしぼくはみじめだった』の1曲目に収録されています。
アルバムタイトルからも親近感がわきませんか
ハンバードハンバードの公式HPはこちら。
この曲に出会ったきっかけ
2016年11月23日 NHK Eテレ「オイコノミア」(司会:又吉直樹)22時の放送をリアルタイムで見ていました。
日常生活のあらゆる事柄を、経済学の視点で議論するという番組です。
※放送は2012年4月から2018年3月で終了しています。公式HPも2023年現在ありません。
この時のテーマは「いくらで聴く?音楽の経済学」だったみたいです。
ハンバードハンバードがゲスト出演し、彼らのファンである司会の又吉さんとトークを繰り広げるのですが、主題である経済学の話は一切覚えていません。
番組内で披露した、『ぼくのお日さま』に衝撃を受け、涙がこぼれました。
ぼくはことばが うまく言えない はじめの音で つっかえてしまう だいじなことを 言おうとすると こ こ こ ことばが の の のどにつまる
冒頭の歌詞です。これ、私のことだって思いました。(吃音のある方なら全員思うはず)
心臓だけじゃなく全身がどきっとしました。なんなの。なんで私のこと知っているの。
同時に、この曲を聴いた知人が「あ、きつねえさんみたい」と言っている光景が浮かびました。
怖い、と思いました。
恐怖で心臓がばくばくしながら聴いていると、
こみあげる気持ちで ぼくの胸はもうつぶれそう きらいなときはノーと 好きなら好きと言えたら
あ、この人たち、私たちのことわかってくれてる。そう思いました。
相変わらず心臓の動きは早いですが、ほっとしたのがわかりました。
あたまにきても ことばがでない く く く くたばれ これじゃ勝てないね
くすっと笑います。ほんと、そうなのよ。
言い返したいけど、言い返せない。
わかっているのに、答えられない。
言葉がすぐ喉のそこまで出てるのに。
発せられない、発しても消失する言葉。
家に帰れば ロックがぼくを 待っててくれる ボリュームあげるよ 歌ならいつだって こんなに簡単に言えるけど 世の中歌のような 夢のようなとこじゃない
自然と涙が出ました。
そう。そうなんだよ。
今日もまた言いたいことが言えなかったな、と下を向いて帰宅するけど、
そこには好きなものがあるの。そのおかげで生きていられるの。
ちょうど別記事で書いた、吃音をカミングアウトして2ヶ月後くらいだったので、沁みましたね。
吃音で悩む人たちだけでなく、うまく言えない人たちの気持ちを
この曲で代弁してくれたと思いました。
どうかみなさんにも、好きなものがあって、それがあなたの救いでありますように。
彼らの『おなじ話』もぜひ聴いてみてください。
以来、言葉に詰まってしまったとき、この曲を思い出します。
つらいんですけど、「好きなもの」があるという、救いがあるんですよね。
自分にとっての「好きなもの」を温めて、大きくしていきたいと決意させる歌です。
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