吃音歴30年来のきつねえさんと申します。
幼いころより教科書読みで笑われてきました。
答えがわかっていても発言が怖くて手を挙げませんでした。
就活も面接官の質問にうまく答えられず、苦労しました。
本当に思っていること、言いたいことが言えずに心の中で泣いているのは、あなただけではないです。
今回伝えたいことは、これだけ。
吃音であることをカミングアウトしたらすごく楽になりました。
吃音で悩む人たちに、昨日より楽に生きてほしくて、この記事を書きました。
自己紹介はこちら。
カミングアウトするまでの道のり(きっかけ)
社会人になり、4年間は言葉に詰まりながらもどうにかやってきました。
新人ですので、電話は率先して取らないといけない風潮。
電話対応も最低5分に1回(繁忙期はもっと頻繁)はあったので、毎日心臓がどきどきばくばくでしたね。
詰まりやすい言葉の言い換え
- 所属名も最初の音が詰まりやすい音だったので、わざとその上の所属まで言う(長い)
- 皆には見えないようデスクの下で足でリズムをとる(8ビート刻んでました)
- どうしても言えない言葉はイントネーションを変えて言い直す(方言ですと言い切る)
同僚の皆さんも私が吃音であることに気が付いていたと思います。
くすっと笑われましたし、先回りで「『たぬき』(例です)だよね?」と言われたり。
でも優しい人たちばかりだったので、言葉に詰まることを怒られたり、からかわれたりすることは全くなく、フォローされながらなんとかやっていました。
最初の職場は吃音に対して理解のある人たちが多く、本当にラッキーでした
4年後、次の異動先で、今までの人生のなかで嫌な思いベストテンに入るつらい思いをすることに。
次の職場は、社長のスケジュール調整や身の回りのお世話をする秘書課でした。
電話や来客は以前の倍以上、また多くが〇〇会社の取締役とか、お偉いさんなんですよね。
加えて部署名が、苦手としているどもりやすい言葉から始まるので、受付時は毎回どもっていました。
電話に出たけど一言も言葉を発せられず、
「おい!?名を名乗れ!」と怒鳴られたこともあります( ;∀;)
同じ係はもちろん、隣の係の人たちからも、使えないやつが来ちゃったよと思われているのがひしひしと伝わってきます。
そして、異動後2週間。ついに番頭の先輩男性から、からかわれ始めました。
その人には以前から「どもりのキツ子ちゃん」とあだ名をつけられていたのですが、
私が回覧書類を持っていくと「あっ、あっ、あっ、ありがとうございますぅぅ」と、吃音のまねをしてきました。
上司、同僚、よその課の人やお客さんも20人くらいその場に居たと思います。
それを聞いたまわりの同僚たちは、笑うしかないという感じでしたね。
中には、「えぇ・・」と顔をした人もいたので、ひどいことすると思ってくれた人もいたと思います。
でもその人はいわゆる「番頭」=係で一番在籍が長くいわば力を持った人だったので、
彼に言い返すには勇気がいることがわかります。
その時自分がどんな顔してたか、何を言ったかは覚えていません。
恥ずかしさと悔しさで頭が真っ白になり、
そのあとお昼休憩に入ってもご飯が食べられず、トイレで泣いていたことだけ覚えています。
仕事で迷惑をかけている自覚もあったので、これはかなり堪えました
午後の仕事が始まり、またその番頭さんのいる部屋にハンコをもらいに行かなくてはいけない用事がありました。
気分は最悪だったのですが、ある意味もう吹っ切れた感もありました。
泣きたいだけ泣いたら、すっと視界がクリアになった感覚がありました。
そのまま番頭さんのいる部屋(自分がいる部屋の隣)に向かい、そこの係長に言いました。
「私は子どもの頃から吃音があります。治したいのですが治りません。
ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ないのですが、できるだけスムーズに伝えられるよう努力しますので、よろしくお願いします。」
係長が何と言ったか覚えていません。頷いたような、否定も肯定もされなかったような気がします。
番頭さんがこっちを見ていたように思いましたが、勇気がなく顔は見られませんでした。
その時から、私が言葉に詰まることが劇的に減りました。
たまに詰まっても、一音ずつゆっくり言い直したり、
「聞こえづらくて申し訳ありません。吃音があります」と言えるようになりました。
自らが吃音であること、聞こえづらくて申し訳なく思っていることを相手に伝えると、
相手も「そうなんだ。つらいよね」と共感して待ってくれる人ばかりでした。
まわりが自分のつらさをわかってくれる。
そう思うだけで不思議と言葉に詰まることは減りました。
そうして、吃音で悩んでいたばかりの毎日が、かなり楽になりました。
その後、番頭さんから特に謝られたりもしませんでしたが、
以来、からかわれることやあだ名で呼ばれることは一度もありませんでした。
吃音のつらさを理解してくれる人がほとんどで助かりました
数年後、『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていく ブッダの超・合理的な「考え方」』(草薙龍瞬さん著)を読んで、あの時自分は「自己肯定」を実践していたのだと腑に落ちました。
自分で自分を認めてあげられたんだね
読書記録はこちらにあります。
まとめ
当時はつらい出来事だったのですが、それから自分の吃音もかなり改善され、今となっては言葉に詰まっても動じなくなりました。
毎日毎秒「どもったらどうしよう」とずっと不安だった日々を思うと、
あの出来事は嘘みたいに楽に生きられるようになったきっかけなので、今となっては感謝しています。
今回のカミングアウトが、吃音で悩む人すべてに当てはまるわけではないと思います。
まわりが、みんなわかってくれない!敵だらけ!と思っている状態では、とてもできないですよね。
まず、自分で自分を肯定すること。悩んで苦しむ自分を認めてあげること。
その上で、もし、これを読んでくれている人が、
いまの自分の置かれている状況を変えたいと思っていて、
まわりに自分を受け止めてくれると信じられる人が少しでもいるなら、
- 自身が吃音で悩んでいること
- 治したいと思っているけどいまの医学では治らないこと
- 言葉に詰まって迷惑をかけることがあって心苦しく思っていること
伝えてみることもいいかなと思っています。
まず「自分で自分を肯定すること」だけでもかなりお勧めです
あなたの悩んでいる毎日が、少しでも楽になったらうれしいです。
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